
💬 導入|「なんのために働くのか」が分かる人は強い
「うちの会社って、結局何を大切にしてるんだろう?」
入社したばかりの頃、誰もが一度はそう感じます。
でも実は――
この「会社の目的(=経営理念・ミッション・ビジョン・バリューなど)」を自分の言葉で話せる人ほど、上司に信頼されやすいんです。
上司は常にこう考えています。
「この人は“なぜそれをやるのか”を分かって動いているか?」
どんなに仕事が早くても、目的がズレていれば成果は長続きしません。
だからこそ、“方向を合わせて動ける人”が信頼されるのです。
🎯 本質|上司の本音:「目的を理解して動ける人」はブレない
上司から見て、「会社の目的を理解している人」は安心感があります。
なぜなら、その人は仕事を「作業」ではなく「貢献」として捉えているから。
🔸上司の本音:
「正しい方向に動いてくれる部下は、多少スピードが遅くても信頼できる。」
実際、多くの企業の人事評価シートには「理念理解」や「会社の価値観との共感度」といった項目が存在します。
それだけ、目的を理解して動ける人は組織全体に好影響を与える存在なのです。
🧩 用語をやさしく整理してみよう
「会社の目的」といっても、実際には会社によって呼び方が異なります。
以下の表で整理してみましょう。
📊 経営理念・パーパス・MVVの関係図
| 用語 | 意味 | たとえで言うと | 例 | 
|---|---|---|---|
| 経営理念 | 会社が存在する根本の考え方。経営者が大切にする価値観や信条。 | 「生き方・信念」 | トヨタ:「豊かな社会の実現に貢献する」 | 
| パーパス(Purpose) | 社会における存在意義。「なぜこの会社は世の中に必要なのか」 | 「生まれてきた理由」 | ユニリーバ:「サステナブルな暮らしを、すべての人に(原文:To make sustainable living commonplace)」 | 
| ミッション(Mission) | 会社の使命。今、果たすべき役割や提供する価値。 | 「今の役目」 | ファーストリテイリング:「服を変え、常識を変え、世界を変える」 | 
| ビジョン(Vision) | 会社が“こうありたい”と描く将来像。 | 「未来の写真」 | Google:「世界中の情報を整理し、誰もがアクセスできるようにする」 | 
| バリュー(Value) | 社員が日々の仕事で守る行動指針や価値観。 | 「行動のルール」 | サイバーエージェント:「挑戦し続ける」「失敗を恐れない」 | 
💡 まとめるとこうなります
- パーパス/経営理念 …「会社がなぜ存在するのか」
 - ミッション …「今、果たすべき使命」
 - ビジョン …「どんな未来をつくりたいか」
 - バリュー …「そのためにどう行動するか」
 
これらは、会社という“船”がどこへ進むかを示す地図のようなもの。
ミッションは「今の航路」、ビジョンは「目的地」、バリューは「乗組員の行動ルール」です。
信頼される人は、この“地図”を理解して、自分の行動を合わせられる人なのです。
🧠 具体例|「コピーを取る」だけでも、目的は変わる
たとえば上司に「この資料コピーしておいて」と言われたとします。
多くの新人はこう考えます。
「コピーを取る=頼まれた作業をこなす」
でも信頼される人はこう考えます。
「なぜこの資料が必要なんだろう?」
「会議で使うなら、人数分+1部予備を用意しておこう」
この“ほんの一歩先の思考”が、「気が利く」「任せられる」と評価される理由です。
目的を意識すると、行動が変わる。
行動が変わると、信頼が生まれます。
🧰 実践パート|「会社の目的」を自分の言葉にする3ステップ
STEP①|会社の理念を調べて3つのキーワードを抜き出す
例:挑戦・信頼・社会貢献など。
→ 「この3つを、自分の仕事にどうつなげられるか?」を考えてみよう。
STEP②|上司や先輩の口ぐせを観察する
よく出てくる言葉には、チームの価値観が隠れています。
心理学的にも、“頻繁に使う言葉=その人の信念”を表すと言われています。
例:「スピード感」「報連相」「数字で考えろ」など。
STEP③|自分の言葉で言い換える
例:「挑戦」→「できるかどうかより、まずやってみる」
例:「信頼」→「約束と期限は必ず守る」
→ 翻訳できた瞬間、“自分の行動指針”に変わります。
📘 まとめ|信頼される人は、目的からブレない
目的を理解している人は、どんな仕事にも意味を見つけられる。
上司の信頼は、スピードよりも“方向の一致”から生まれる。
あなたの会社が何を大事にしているのか。
そこにあなた自身の価値観を重ねてみてください。
それが「信頼される社会人」への最初のステップです。
💬 上司の本音コメント
「理念を自分の言葉で話せる人は、もう“作業者”ではなく“仲間”だ。
そういう人にこそ、次のチャンスを任せたくなる。」
🔔 次回予告
第2回|信頼される人は、「上司の意図」を読み取って動く
― “言われたこと以上の成果”を出す人がしている思考のクセとは? ―